はじめに
いつも楽しみにしている新聞の連載記事で
『坂本美雨の子育て日記』
というものがあります。
ミュージシャンの坂本美雨さんが自身の子育てにまつわる話をしてくださるのですが、
今回のテーマは『話を真剣に聞く』というものでした。
ご自身のラジオ番組にゲスト出演された、黒柳徹子さんの幼少期が題材となっていました。
感銘を受けたので内容をご紹介します。
「窓際のトットちゃん」徹子さんの自伝にもありますが、以下は『坂本美雨の子育て日記』の引用です。
『元の学校を「問題児」として退学になったトットちゃんは、当時としては珍しい、子を大切にする教育をいしていた、
トモエ学園に通うようになり、人生が一変します。
小林宗作校長先生と初めてあったときに、「なんでも話してごらん」と言われ、本当に思いつくまま全てを話し、
4時間ぐらいたったところでついに話が尽きたー
「だからね、私よく覚えているの、『おかあさまがつくったてくれたワンピースのここの柄がお母様は気に食わないんですって』って最後に行ったの。
もうそのくらいしか話すことが残ってない、って思ったことを鮮明に覚えているの」と徹子さん。
先生はその間ずっとただ耳を傾けてくれていたらしい。
1年生のコドモの話を4時間聞いてあげられる大人がいるだろうか。
私は娘に話しかけられて、どれだけ「ちょっと待って」と言ったり適当に聞いたりしているだろうかと恥ずかしくなった。
先生はその後ことあるごとに、「きみは本当はいい子なんだよ」トットちゃんに伝えたそうだ。・・・・
自分の話を真剣に聞いてくれる人がいること、誰かが「きみはいい子だ」と本気で信じて、それを伝えてくれること。
それがこんなにも一人の人を支えるのだ。
その先生の行動とトモエ学園での思い出が、その後の80年余の間、徹子さんを支えてきたのた。そのことがありありと伝わって涙をおさえられなかった。
どんな環境にいても自分を肯定し、希望を見つけながら生きる力、という色あせない宝を、私たちは子どもに手渡すことができる。ー以下省略。』
子どもの話をちゃんと聞くことの大切さ、無下に扱わないこと。
しっかり向かい合って、耳を傾け、いつでも子どもを肯定してあげること。
大切なのは分かっているけど、軽視してしまう自分がいます。
忙しいから、疲れているから、自分の時間がほしいから、、、色々理由はありますが、
いつでも話を真剣に聞いてくれる親がいるー
この安心感を子どもの心に与えられるよう頑張ります。
ということで、今回の絵本はそんなテーマにちなんでいます。
題名「パンケーキをたべるサイなんていない?」
公式ホームページです↓
あらすじ
「ねぇ、おかあさんやおとうさんが、ちっともはなしをきいてくれない、って おもったこと ない?」
という出だしから始まります。
子どもあるあるではないでしょうか。
「デイジーは、最近ママとパパがちっとも話をきいてくれないと思っていました。 ある日、デイジーが朝ごはんを食べているとき、大きなむらさき色のサイが台所に入ってきて、とつぜん、デイジーのパンケーキを食べてしまったのです。 ママとパパにそのことを話そうとしましたが、ふたりはいそがしくてなかなか聞いてくれません。 それからサイと話をすることにしたのですが・・・。」ー(公式ホームページからの引用 出版社からの内容紹介)
子どもの心を引き付けるストーリーです。
親としてたいへん考えさせられる作品となっています。
魅力
1 子どもを引き付ける絵
紫色をした大きてく可愛らしいサイが家にいたらと想像してみてください。
子どもはワクワクする展開です。
しかも、パンケーキが大好きなんです。
はなしを聞いてくれない両親の代わりに、サイくんと意思を通わせ、
色々な遊びを楽しむ描写がなんとも印象的で子供の心を引き付け楽しませます。
サイくんがテイジィーの家ですっかりくつろいでいる描写は安心感を与えてくれます。
絵のセンスも素晴らしくデザイン性に優れた絵本です。
2 見えていると思っていても、実は見えてなかったりする
抽象的ですみません。
普通なら家の中に大きなサイがいたら、
見えないなんてことはまずありません。
でも、この話では親には全く見えていないんです。
「ほら、そこにいるでしょ、サイが。見てよ!」っとテイジィーがさけんでも、
両親は聞く耳を持ちませんでした。
二人の後ろには大きなサイがパンケーキを食べているのに!
この絵本を読んで、本当にサイがいたのかな? それとも女の子の空想の中のお話なのかなと考えてしまいました。
もし、サイなんていないに決まってる。
サイがパンケーキなんかたべるわけないと決めつけている。
「いるわけないでしょ」といってしまったら、子どもとの意思疎通が終わってしまう、なんて思いました。
どんなに忙しくても、自分の用事があっても、
立ち止まって、子供の目線に自分を合わせ、まず話を聞いてみる
子どもには見えているサイを、一緒に共感し、寄り添うことをあなたはしていますか?と問いかけられているようです。
子どもが時に突飛なことを言う時、もしかしたら子供の心にはサイがいる。
こんな感性を持ち合わせた親になりたいと感じました。
子どもからのそんなサインにアンテナを張ってすぐ気付ける様になりたいです。
まとめ
親が全く話しを聞いてくれない状況で、テイジィーなりに成長してゆく姿が描かれており、子どもと一緒に読むには最適な絵本です。
子どもは想像力いっぱい働かせ、豊かな感性を磨かれ、
親は親で自分はどうだろうかと絵本から大切な教訓を学べます。
ぜひ、一度は読んでみたい良書です!
こどもの話を4時間もさえぎることもなく聞いた、トモエ学園の校長先生のように、
こどもの尊厳や未来を決して否定せず、肯定し続けた校長先生のようになれるよう私も努力します。
それではまた!!
作品情報
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- 題 名 パンケーキをたべるサイなんていない?
- 作 者 アンナ・ケンプ
- 訳 かどの えいこ
- 絵 サラ・オギルヴィー
- 出版社 BL出版
- 出版年 2011
- 税込価格 1650円
- ページ数 32ページ
- 対象年齢
- 我が家で主に読んでいた年齢 2-4歳(現在進行中)
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